信州大学医学部歯科口腔外科レジデント勉強会

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Department of Dentistry and Oral Surgery, Shinshu University School of Medicine


いわゆる有病者の歯科治療

31 緑内障について

2000.11.21 畔上 

【緑内障とは】

 目の中にある房水が排水されにくい状態や排水されない状態になり、眼圧が上がり視機能障害を起こす疾患である。

【房水と眼圧】

 目の中には血液のかわりとなって栄養などを運ぶ、房水とよばれる液体が流れている。房水は毛様体でつくられシュレム管から排出される。目の形状はこの房水の圧力によって保たれており、これを眼圧という。
正常眼圧10〜21mmhg

【緑内障の症状】

自覚症状はほとんどない。
急性の緑内障では急激に眼圧が上昇し目の痛み、頭痛、吐き気などの症状をおこす。

【緑内障の種類】

  1. 慢性型開放隅角緑内障:
    緑内障で一番多いタイプである。房水の出口が除々に目詰まりし、眼圧が上昇する。自覚症状がほとんどなく、少しずつ目の機能がおかされていく。
  2. 急性型閉塞隅角緑内障:
    もともと房水が流れる空間が狭い人に起こりやすい。治療が遅れると数日で失明することがある。
  3. 慢性型閉塞隅角緑内障:
    房水の排水が悪く、慢性的に高い眼圧が続く。自覚症状がほとんどなく、少しずつ網膜や視神経などがおかされる。
  4. 先天緑内障:
    生まれつき隅角が未発達であることからおこる緑内障
  5. 続発緑内障:
    外傷、角膜の病気、網膜剥離、目の炎症など、他の目の疾患による眼圧上昇や、ステロイドホルモン剤などの薬剤による眼圧上昇によっておこる緑内障。

【緑内障の治療】

病気の進行をくい止めるため、眼圧を低くコントロールすることが最も有効とされている。

薬物療法(点眼薬と内服薬)・レーザー治療・手術が一般的である。

【歯科治療時の注意点】 

  1. 極端に頭部を下げると眼圧上昇をきたすことも考えられる。
  2. 麻酔導入でアトロピンを使用するときは治療状況を主治医に尋ねる。
  3. 基礎疾患の把握
  4. 急性発作が生じたときは、強い眼痛、頭痛、吐き気、視力障害を訴えるので、速やかに眼科へ紹介。
  5. 急性狭隅角緑内障では投薬に注意

 

<参考文献>

緑内障の臨床          医学書院

緑内障クリニック        金原出版株式会社

病気をもった患者の歯科治療   長崎保険医協会

http://www.banyu.co.jp/life/pa-31/pa31a.html


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